1 導入
雇用保険は、企業に就職している正規従業員だけのものではありません。条件を満たしていればアルバイトも雇用保険に加入する義務があり、未加入だと事業主が罰せられる可能性もあります。この記事では、アルバイトが雇用保険へ加入するアルバイト側・事業者側のメリットや、アルバイトから多く寄せられる質問をご紹介します!2 アルバイトが雇用保険未加入だった場合の罰則
雇用保険法では、労働者が雇用保険に加入できる条件を以下のように定めています。・一週間の労働時間が20時間以下
・31日以上の雇用見込みがある
・昼学生ではない
雇用保険の条件を満たしている場合は、正規従業員、非正規従業員に関係なく、雇用保険に加入させる必要があります。条件を満たしているにも関わらず未加入だと、6ヶ月以内の懲役、または30万円以下の罰金刑となる可能性があるため注意しましょう。
なお、「非保険資格者がいない」 などの虚偽の申請を行った場合も、同様に罰則の対象となります。
3 雇用保険に加入するメリット
雇用保険に加入することで受けられるアルバイト側のメリットとして、「職を失ったときに給付金が得られること」が挙げられます。給付金の代表的なものとして、「失業給付」や「就職促進給付」が挙げられます。失業給付は、失業してからも毎月一定額の給付金を受け取れる制度です。条件としては、過去2年間に通算12ヶ月以上雇用保険に加入していたことと定められています。失業給付を受け取るには、ハローワークでの受給申請が必要です。
一方、就職促進給付は、失業後の再就職を促進するために受けられる給付金です。支給残日数や安定した職に就いているかなどにより、「再就職手当」「就業手当」「常用就職手当」に分けられます。
なお、これらの給付金の支給申請には期限が設けられている場合もあるため、受給する際は早めに確認しておきましょう。
4 雇用保険に加入してもらうメリット
では、アルバイトに雇用保険に加入してもらった場合、事業者側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で主な2つのメリットをご紹介します。4-1 企業の信頼性をアピールできる
雇用保険の加入は、企業の信頼性を示す指標になります。求職者にとって、企業が雇用保険などの社会保険に加入しているという事実は、安心材料の一つとなるからです。
また、入社前のアルバイトに雇用保険があることをアピールできれば、長期間安定した勤務ができることを想像してもらえるかもしれません。結果的にアルバイトのモチベーションアップにつながり、アルバイトの定着率が向上することも期待できるでしょう。
4-2 助成金が受け取れる可能性がある
アルバイトが雇用保険に加入すると、事業主は助成金を受け取れる可能性があります。助成金には以下のようなものがあります。
雇用調整助成金
経営上の理由により事業の縮小を余儀なくされた場合に、アルバイトの雇用維持を図るために支給される助成金です。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)
やむを得ずアルバイトを解雇した場合に、再就職支援をハローワークに委託したり、就職活動のために休暇を付与したりした事業主に支給されます。
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)
再就職援助計画などの対象者を離職後3ヶ月以内に期間を定めず雇い、継続して雇用することが確実である場合に支給されます。
5 雇用保険に関するよくある質問
雇用保険に関して、アルバイトから質問を受けることもあるでしょう。ここでは最後に、アルバイトから質問されやすいポイントと回答をご紹介します。
5-1 アルバイトを掛け持ちした場合はどちらの企業で加入すれば良い?
雇用保険は2つの企業で同時に加入することはできません。原則として「主たる生計を維持する企業」、すなわち給料の多い方の企業で加入します。ただし、雇用保険の条件を満たしていても、既にほかの企業で手続きが済んでいる場合は雇用保険を取得することができません。
なお、「週20時間以上」の労働時間という条件は、複数のアルバイト先の労働時間を合算して考えることはできないため注意しましょう。例えば、片方の企業で16時間、もう一方で4時間働いているとしても、どちらの企業でも雇用保険に加入することはできません。
5-2 雇用保険の加入有無はどこで確認すれば良い
雇用保険に加入しているかを確認するには、いくつかの方法があります。
まず、給与明細を確認する方法です。雇用保険料は、基本的に給料から天引きされます。そのため、給与明細の控除項目に「雇用保険」という記載があれば、加入していることを確認できます。
また、自分で直接ハローワークに出向いて問い合わせることもできます。ハローワークで用意されている「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」の用紙に必要事項を記入し、所在地管轄のハローワークに提出することで、自分の雇用保険の手続き状況を確認できます。回答書として通知される照会結果は、本人または代理人がハローワークに出向くか、簡易書留で郵送してもらうか選択可能です。