変形労働時間制とシフト制の違いは?特徴や運用方法などを紹介!

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1 導入

会社で従業員を雇うときは、労働時間に関してルールを定める必要があります。労働時間を決定する方法には「変形労働時間制」と「シフト制」の2種類があり、それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握して選択しなくてはなりません。自社に適している方法を選び、より良い労働環境や安定した経営を実現しましょう。この記事では、変形労働時間制とシフト制の概要や違いなどを紹介します。



2 変形労働時間制とは


変形労働時間制とは、ある一定の期間を平均して1週間ごとの労働時間を求め、平均した週での労働時間が基準を超えないように調整する制度です。業務量が時期ごとに異なる業種で役立つ制度ですが、便利な反面、導入に手間がかかり、理解が足りないことによるトラブルが起こる恐れもあります。

2-1 種類
変形労働時間制は、主に労働時間をどの程度の間隔で定めるかによって、大きく4種類に分けられます。

・1ヶ月単位の変形労働時間制
労働時間を1ヶ月ごとに平均して、1週間で40時間以下に収まるように調整する制度です。基準を満たしていれば、一時的に1日の労働時間が8時間を超えたり、1週間の労働時間が40時間を超えたりしても問題ありません。

・1年単位の変形労働時間制
1ヶ月から1年までの労働時間を平均して、1週間で40時間以下に収まるように調整する制度です。月ごとや季節により繁忙期と閑散期の差がある業種で導入される傾向にあります。なお、労働日数・労働時間・連続勤務日数に上限があるため、導入の際は注意しましょう。

・1週間単位の非定型的変形労働時間制
1週間に40時間以内、1日に10時間以内までの範囲で、1週間ごとの所定労働時間を調整する制度です。利用条件として「日によって業務の忙しさに差があること」と「常勤従業員が30人未満であること」が規定されています。旅館や飲食店などに適している制度です。

・フレックスタイム制
1ヶ月を基準に、従業員自身が任意の出退勤時間を決められる制度です。ライフスタイルの多様化や価値観の変化、プライベートを重視する傾向などを背景に広がりを見せており、特にデザイナーやエンジニアなどの勤務において多く導入されています。

2-2 メリット
変形労働時間制は、繁忙期・閑散期のそれぞれに合わせて労働時間を柔軟に変更できるメリットがあります。一般的な労働時間制では、繁忙期に長く働く分だけ残業代を従業員に多く支払う必要があり、一方で閑散期にはあまり仕事がなくとも一定の給与を支払わなくてはなりません。従業員にとっても閑散期は仕事がなくとも定時まで職場で拘束されるため、適宜プライベートに時間を割くことはできず場合によっては無駄な時間を過ごすことになります。この点、変形労働時間制は時期による業務量の差に応じて労働時間を変更させることができるため、企業にとっても従業員にとってもメリットがあると言えるでしょう。

2-3 デメリット
変形労働時間制は導入に時間がかかるデメリットがあります。繁忙期や閑散期のタイミング、および従業員の労働時間を正確に把握する必要があり、導入決定から実際の運用開始までにしっかりと準備しなければなりません。もちろん、実施後も正確な勤務管理が求められます。
また、残業代に関してトラブルが生じる可能性もあります。繁忙期の時間外勤務は定時までの時間が長くなるため、通常より長く働いても残業代が発生しません。一方で閑散期に急な残業が発生しても、法定労働時間である8時間を超えるまでは時間外労働の手当てが付かないという問題もあります。経営者によっては「変形労働時間制は残業代が不要」と考えているケースもあり、経営者と従業員との間できちんと認識をそろえておかないと、のちのちトラブルに発展するリスクがあります。

2-4 運用方法
変形労働時間制を導入するためにはいくつかのステップを踏む必要があります。
最初に従業員の勤務実績を調査しましょう。従業員の実績や希望を把握したら、法律も踏まえつつ労働日数・時間を割り振ります。この際、従業員の働き方が変わるため、労使協定や就業規則なども新しく整備しなければなりません。整備後は労働基準監督署に提出しましょう。
また、新制度を導入する際は、各従業員がしっかりと理解・納得できるように社内に対してもきちんと説明しなければなりません。さらに、導入後は制度が協定・規則に沿って運用されているかどうか、管理担当者の定期的な確認が必要です。
変形労働時間制を採用するときは、「自社に合った種類を選ぶ」「就業規則や労使協定に反映させる」「制度を適用する対象者を決める」というポイントを意識しましょう。



3 シフト制とは

シフト制とは、勤務時間について職場でいくつかのパターンを決めて従業員を配置・勤務させる方式のことです。24時間営業の店など、単独の従業員が業務を続けられない職場で多く利用されており、深夜・日中・夜間などの各時間帯から出勤可能なタイミングを選択します。

3-1 種類
シフト制は決め方と勤務時間に応じて以下の4種類に分けられます。

・固定シフト制
勤務する曜日と時間をあらかじめ決めておき、その予定に従って毎週勤務する方式です。基本的には入社時点で予定を決定します。勤務のタイミングが安定しているため、雇用主が計画を立てやすいのがメリットです。従業員にとっても、収入や生活スタイルが安定しやすいでしょう。

・希望シフト制
各従業員の勤務できる日時を把握したうえで、一定期間ごとの勤務日時を決定します。申請のタイミングは職場により異なります。一度に働ける人数には限りがあるため、特定の日時に勤務・休暇の希望が集中すると希望に沿わないタイミングで勤務することになる場合があります。

・2分割シフト制
24時間を2分割して、それぞれの時間帯に従業員を配置する方式です。1日の交代回数は1回なので、同じ人が続けて業務を行いやすい一方、労働時間が長くなる可能性が高く従業員の負担が大きくなるリスクもあります。

・3分割シフト制
24時間を3分割して、それぞれの時間帯に従業員を配置する方式です。従業員1人あたりの勤務時間は8時間になるため、時間外労働が発生しません。残業代が不要になるためコストを下げられるだけでなく、従業員にとっても負担を抑えられるメリットがあります。

3-2 メリット
シフト制は、従業員をバランス良く勤務させられるメリットがあります。規定された時間ごとに従業員が交代で勤務するため、従業員がいない時間帯や、定時を過ぎても従業員が終業していないといった事態を防げます。また、従業員にとっても平日に休みをとったり通勤ラッシュを避けて出勤したりと融通の利く働き方が実現可能です。

3-3 デメリット
一方、シフト制のデメリットはタイミングにより人員の確保が難しい点です。従業員同士の希望日時が被ると、調整のために手間がかかります。場合によっては、十分な人員を確保できない日時も出てきてしまうでしょう。
また、従業員にとっては希望に沿った予定を立てづらいという側面があります。急遽勤務が発生してしまった場合は、プライベートの予定を諦めなくてはならないかもしれません。さらに、深夜勤務の従業員には健康面での問題も生じます。不規則な勤務は疲労がたまりやすく、シフト勤務を続けていると睡眠障害や糖尿病の罹患率が上がるとも言われています。

3-4 運用方法
シフト制を導入する際は、いくつかのポイントに留意しなければなりません。
まず、人員は売上に応じて適切に配置しましょう。どの時期・どの曜日に忙しくなるかを分析して、忙しいタイミングでより多くの従業員を動かせるように調整します。逆に、忙しくならないタイミングは最小限の従業員だけで問題ありません。また、従業員の配置を早くから決められるように、希望シフトはなるべく早く提出させましょう。調整のために余裕をもって集められると安心です。



4 変形労働時間制とシフト制の違い


変形労働時間制とシフト制は、労働時間の柔軟性において異なります。
変形労働時間制は、繁忙期や閑散期に合わせて労働時間の長さを細かく調整できます。ただし、調整内容を確定するためには、労使協定を締結しなくてはなりません。
一方シフト制では、法定労働時間の超過を防ぐために、従業員複数人が一定時間ごとに交代して勤務します。シフト制では基本的にシフトパターンを会社側が決めるため、従業員が任意に始業・終業時刻を決められません。
手続きがやや煩雑なものの自由度が高い変形労働時間制か、自由度は低いものの比較的導入しやすいシフト制か、自社に適したものを選びましょう。



5 変形労働時間制とシフト制を同時に導入する場合


なお、変形労働時間制とシフト制は同時に導入するケースもあります。具体的には、まず従業員の労働時間を把握して、変形労働時間制で採用する制度を選定します。その後、変形労働時間制で決められた時間をシフト表に割り当てていく、というものです。
両制度を併用する場合でも、休日の考え方は基本的に変わりません。労働基準法では原則的に毎週1日休日を設ける必要があり、必ずしも日曜日や祝日が休日である必要はありません。変形労働時間制を採用する際、就業規則への記載事項に基本的な共通の休日規定を盛り込み、そのうえでシフトを用いて各従業員に伝達すれば両立可能です。



6 まとめ

この記事では、従業員の労働時間を決めるうえで用いられる「変形労働時間制」と「シフト制」について解説しました。労働時間に関するルールに違反すると、従業員の意欲や業務中の安全性、会社の社会的な評価など多方面でリスクが生じます。自社に適した制度を採用し、しっかりルールを守って運用しましょう。