企業を運営するなかで、適切に人材を雇用・配置・活用していくことに関して考える時間は非常に多いでしょう。どの業界においても、企業の支出で大きな割合を占めるのは、人件費というコストです。この人件費のコストを削減できれば、企業は利益を上げられる体質になり、経済性が大きく改善するかもしれません。そのためには、従業員の適切なシフト管理が重要になってきます。今回の記事では、人件費を中心としたコスト削減について考えている方に向けて、シフト管理の重要性と実践のコツを解説します。
人件費が増大する要因
最初に、人件費が増大してしまう原因について、2つのポイントから考えてみましょう。①スキルを持つ人材の不足
まず、職務をきちんと遂行するためのスキルを有する人材の不足があります。高いスキルを持つ人材が不足していると、業務を遅滞なく回すためには、手持ちの人材のなかから人員を余分に配置する必要があります。そのため、人件費がかかってしまうという構造です。
②人手不足
スキルの有無以前に、そもそも人手自体が不足していることも考えられます。少子高齢化による国内労働人口の減少が深刻な問題となり、現場に必要な人員が不足しているのが現状です。そのため、今いる人員の残業時間がどうしても増加してしまい、通常に比べて割高である残業代がかさんでしまいます。
人材費削減にはシフト管理が重要
人件費を合理的に削減するには、シフト管理が重要になります。実は、シフト管理により適切な人員配置をすることで、今までにかかっていた余分な人件費を削減しながら、同時にサービスの品質も保つことができるのです。具体的には、忙しい時間帯にはスキルの高い人を中心にスタッフを厚く配置し、業務が落ち着いてくる時間帯には薄くするというような対策が有効です。シフト管理で適材適所に人員を配置することで、業務効率が大きく改善できるかもしれません。
人件費の削減方法とは
ここまで、人件費を削減することの重要さや、人件費のコスト削減には適切なシフト管理が大切であることを解説しました。それでは、具体的にどのような方法で人件費を削減していけば良いのでしょうか。ここでは、2つの面からの対策をご紹介します。①従業員育成に力を入れて残業時間を減らす
まずできることは、今働いている従業員の育成に力を入れ、残業時間を可能な限り減らすことです。従業員の人数を削減するのではなく、育成してスキルを磨いてもらうことで、1人あたりの生産性を向上させます。それによって、残業時間を減らし、時給が割高となる残業代のカットにつながります。
ちなみに、現在いる従業員がどれくらいの生産性を上げているかを測定する目安となる数字があります。それは、従業員1人あたり1時間にどのくらいの売上を出したかを示す、「人時(にんじ)売上高」です。人時売上高は、「売上÷総労働時間」で算出し、全産業平均では5,000円程度が目安とされます。
さらに、人件費率という指標もあり、「人件費率=(人件費÷売上)×100(%)」で算出します。おおよその目安は、卸売業で7%、飲食業で33%程度が、適切な人件費率とされています。
このように、従業員1人が単位時間あたりにこなせる業務量を増やすことで、顧客満足度も向上させることができるでしょう。このような好循環を通して、利益を上げられる組織体質に変化していくのです。
②業務プロセスの効率化を進める
もう一つの対策は、業務プロセスの合理化と効率化を進めることです。適切なマニュアルを作成したり、業務プロセスを見直したりすることによって、業務の効率化が図れます。このような取り組みを通して、人員が不足した場合でも業務が遅滞なく遂行できる体制作りをしておくことで、結果的に人件費を削減することにつながります。
マニュアルを作成することは、業務プロセスの属人化を防ぐためにも有効です。あるいは、1時間単位で短時間だけ働いてくれる人を確保することも、業務効率化のために必要かもしれません。
業務プロセスの効率化を達成するためには、期限を定めて具体的な数値目標をはっきりと宣言することが肝心です。目標数字が曖昧だと、努力も曖昧になってしまうでしょう。また、一丸となって目指すべきゴールがはっきりすることで、従業員一人ひとりの目的意識が明確になるかもしれません。
従業員を育成するのにしても、業務プロセスを効率化するのにしても、ポイントは急速に進めようとしないことです。焦って急速に進めてしまうと、必要な人材や業務まで切り捨ててしまう危険があります。結果的にサービスの質が低下してクライアントの信用を失ったり、職場の士気が悪化したりするかもしれません。人件費削減は長期的な計画を持って、粘り強く続けていきましょう。
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