有給休暇とは、労働者が心身の疲れをとり、生活にゆとりをもたらすための「労働者の権利」です。有給は取得しても給与が支払われるのが特徴で、その際の給与計算は、平均賃金・通常賃金・標準報酬月額のいずれかの方法を使って算出できます。この記事では、アルバイトが有給を取得した際の給与金額の計算方法と計算時の注意点、給与計算を効率化する方法についてご紹介します。
アルバイトの場合、有給時の給与の金額はどうやって算出する?
アルバイトの有給時の給与金額は、どのように算出するのでしょうか。以下で金額の算出方法を3つご紹介します。①平均賃金
まずは、アルバイトの直近3ヶ月の賃金総額を日数で割り、1日あたりの平均賃金をもとにして有給中の給与金額を算出する方法です。
この平均賃金を用いる方法の場合、アルバイトが有給を取得するたびに算出が必要になる可能性があります。時給・日給制のアルバイトは賃金が毎月同じ金額であるとは限らず、有給取得のタイミングに応じて過去3ヶ月の賃金の総額が変動するため、平均賃金も変わることになるからです。
②通常賃金
アルバイトがシフト制であるなどの理由で、1週間・1ヶ月の労働日数と時間が事前に決まっている場合は、有給を取得する日の勤務時間に時給分を掛けた金額が支払われます。
この計算方法は、長時間勤務のシフト日を対象に有給を取得することで、支払われる給料の金額が増えることになります。また、計算がシンプルであることも特徴で、パート・アルバイトなどの有給の金額はこの方法で算出されることが多いようです。
③標準報酬日額
健康保険料の算定に使われる「標準報酬月額」を、有給を取得した際の給与支払いの証拠とすることもできます。具体的には、健康保険料の算出のために、すでに計算済みの標準報酬月額を使って日割りで計算する方法です。平均賃金を用いる方法よりもシンプルなのが利点ですが、標準報酬月額には金額の上限があるため、有給中の給与金額が少なくなるケースがあります。そのため、この計算方法で有給中の給与金額を算出する際は、アルバイトとの間で労使協定を結ぶ必要があります。
なお、アルバイトの場合、勤務条件が健康保険の加入条件を満たしていないことが多いため、この方法はあまり用いられていません。
有給休暇の給与計算時の注意点
有給中の給与計算を行う際の注意点には、どのようなものがあるでしょうか。以下で主な3つをご紹介します。①給与の計算方法を就業規則に記載する
労働基準法第39条第9項では、アルバイトに対して計算方法を明確に開示することが規定されています。そのため、アルバイトの有給休暇中の給与計算方法は、必ず就業規則に記載しなければなりません。
例を挙げると、「平均賃金や標準報酬月額で給与計算をすると支払い金額が減るから」という理由で、フレキシブルに計算方法を変更することはできません。あくまでも就業規則に記載した計算方法に基づいて、状況に関わらず同一の給与計算方法を選択する必要があります。
②最低賃金の改定に伴い計算方法の見直しを行う
アルバイトに支払う給与は、それぞれの都道府県が制定する最低賃金以上の水準でなくてはなりません。最低賃金以下の給与しか支払われなかった場合は「最低賃金法」に違反するため、1人あたり50万円以下の罰金が科せられます。
アルバイトの有給休暇中の給与計算も同じで、最低賃金の金額を考慮したうえで行う必要があります。最低賃金は毎年10月に改定されるため、給与計算の担当者は忘れずに確認しましょう。
③有給休暇の給与計算は負担が大きいことを認識する
そもそも、有給休暇中の給与計算は負担が大きいということを認識しましょう。有給休暇中の賃金は、アルバイトが有給を取得した日の分だけ発生することから、まずは各アルバイト従業員の年休消化数を把握する必要があります。
そして、就業規則で定めた方法に則って、「通常勤務の賃金を参考にする」「3ヶ月分の給与の平均金額を算定する」などして、給与の支払い金額の計算を行います。
特に、多くの人員を割くことが難しい中小企業においては、限られた人員で有給中の賃金計算を正確に行うべく、効率的に業務を回すための工夫が求められます。
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