有料職業紹介事業とは?必要な要件や許可証取得の流れを解説!

1162

1 導入


「有料職業紹介」とは、求職者と紹介先企業が直接雇用契約を結ぶ形で仕事を紹介するものです。有料職業紹介事業を営むには、職業紹介責任者や事業所などに対して細かく要件が設定されており、許可を得ないと事業を行えません。この記事では、有料職業紹介事業の概要や許可証に必要な要件、許可証取得までの流れについて解説します。



2 有料職業紹介事業とは


ここではまず、「有料職業紹介事業」とはどのような事業なのか、混同しやすい「人材派遣会社」との違いも踏まえて理解しましょう。

有料職業紹介事業とは、端的に言うと手数料をとって職業を紹介する事業のことです。
ここで、有料職業紹介は「人材派遣」とどう違うのかと思われた方もいらっしゃるかもしれません。両者の違いは、主に雇用契約関係にあります。

「人材派遣」は、労働者と雇用契約を結ぶのは派遣元会社で、派遣先会社から支払われた金額から派遣元会社が手数料を引き、派遣元会社が給料として労働者に払います。一方、「職業紹介事業」は、労働者は紹介先の会社と直接に雇用契約関係を結び、紹介会社は紹介手数料を取る事業モデルです。

職業紹介事業には、「有料職業紹介事業」と「無料職業紹介事業」があります。無料職業紹介事業は、例えばハローワークや学校の就職センターなどが該当します。一方、本記事で解説する有料職業紹介事業は、一般の営利目的のいわゆる「人材紹介会社」のことです。



3 有料職業紹介事業の許可証に必要な要件


有料職業紹介事業主になるためには、法人でも個人でも構いません。要件を満たせば許可証が発行されます。以下で満たす必要のある4つの要件をみていきましょう。

3-1 職業紹介責任者に関する要件
職業安定法第32条の14の規定により、職業紹介事業を新規開業するにあたっては、厚生労働省が指定する団体が行う「職業紹介責任者講習会」を受講して証明書を受け、「職業紹介責任者」の資格を取得しなければなりません。

職業紹介責任者は、1つの事業所に少なくとも1人(職業紹介従事者50人あたり1人以上)、3年以上の「職業経験」がある「成年」から選任して配置しなければなりません。つまり、職業紹介責任者は労働法規や職業紹介事業に知識と経験がなければならないということです。
なお、ここでいう職業経験について明確な定めはないので、気になる方は厚生労働省や都道府県労働局などに詳細を問い合わせましょう。「成年」の要件については、民法第4条の改正により、2022年4月1日以降は満18歳となります。

3-2 事業所に関する要件
また、個人の秘密情報をしっかり守れるように、他の求職者または求人者と同室にならないことが事業所の要件です。なお、2017年に「20平方メートル以上」との要件が撤廃されましたが、それが有料職業紹介事業への新規参入者を増やしたとされます。

上記の要件を満たすために、パーティションでも構わないので、面談ルームなどを区切りましょう。オープンなデザインのオフィスがトレンドですが、職業紹介のための事業所としては向きません。シェアオフィスやレンタルオフィスでも開業できますが、プライバシーが十分保護されることが必須条件です。ただし、人材紹介面談をオンライン専門で実施する場合はこの限りではなく、事業所の大小に関する要件がありません。
なお、風俗営業法で規制される店舗が密集する地域近辺は、職業紹介事業にふさわしくないとみなされます。

3-3 財産的基礎の要件
加えて、財産に関する要件も重要です。職業紹介事業を開始する時点での財産要件は、次の2点です。

・資産総額から負債を差し引いた額(基準資産額)が500万円以上であること(事業所が2つ以上ある場合は、500万円×(事業所数)以上)
・事業資金が自己名義、かつ現預金(現金と預金)で150万円以上であること

なお、免許の取得には、「登録免許税」が9万円、「収入印紙代」が5万円必要です。さらに、取得業務を外部委託する場合はその費用、また、オフィスや設備・システム・ツールのコストなどがかかりますので、資金は余裕を持って準備しておきましょう。

3-4 個人情報管理体制に関する要件
最後は、求人者や求職者などの個人情報について、秘密をしっかり守る体制が整っており、そのための「個人情報適正管理規程」を定めていることです。また。重要書類を保管するための鍵付き金庫の配置など、厳格な情報セキュリティ体制が、許可されるために必要となるでしょう。
就職における不当な差別を生まず、求職の能力が適正に発揮されるように、個人情報はきちんと守りましょう。



4 有料職業紹介事業の許可証取得方法


それでは、有料職業紹介事業は、実際にどのような方法で許可証を受けられるのでしょうか。以下で事業を開始するまでに踏むべきステップと所要時間をご紹介します。

4-1 許可証取得までのステップ
職業紹介の許可証を受けてから営業を開始するまでのステップは以下のとおりです。

・許可証を受けるための基準を満足しているか、まず確認する
・職業紹介責任者講習を受ける
・必要な書類を準備し、申請書を作成する
・都道府県労働局で事前に確認してもらう
・印鑑を押し、申請の手続きをする
・事業所の検査を受ける
・審査を通過できたら、許可証が交付される
・営業を始める

4-2 許可証取得にかかる期間
許可証申請は、事業開始予定日の約2ヶ月前までに済ませる必要がありますが、上記のステップには2~3ヶ月かかるでしょう。また、申請書に不備があったり、要件に不満足な点があったりすると、手続きを初めからやり直さなければならなくなるかもしれません。計画的に、余裕を持ってスケジュールを立てましょう。
なお、不安点がある場合は、許可証申請事務をプロフェッショナルである社会保険労務士に代行してもらうこともできます。必要に応じて検討しましょう。

4-3 許可証の更新
許可証を新規に取得した場合は3年後、更新した場合は5年後に、更新手続きをしなければなりません。許可証更新申請書の記入などが必要になるため、ゆとりを持って早めに動きましょう。
なお、許可証更新には18,000円の収入印紙代がかかります。



5 まとめ


この記事では、有料職業紹介事業について解説しました。職業紹介事業は大切な「人」と「人の情報」を扱う、重大な責任を伴いながらも大切でやりがいのある仕事です。滞りなく業務を行うためにも、この記事でご紹介した内容を踏まえて、まずは必要な許可証をしっかりと取得しましょう。

シフト管理をクラウド化で「紙使用」から「神仕様」へ

oplus

シンプルで直感的操作が可能な無料のシフト管理サービス「oplus」。おもわず「なぜ無料?」と検索されるほど無料プランが充実。

有料プランでは自動シフト作成、労務管理、勤怠管理など用途に応じていつでも適切なプランに切り替えも可能。

無料で始められる「oplus」、是非お試しください。