安全管理者とは?仕事での役割や資格の取得条件を解説!

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1 導入

安全管理者は、労働現場の安全を守るために事業所に配置される役職で、労働安全法で規定された国家資格です。安全管理者の選任は、企業にとって欠かせないステップだと言えます。
実際に安全管理者は労働現場において大切な役割を果たしていますが、具体的な仕事はどのようなものなのでしょうか。この記事では、安全管理者に選任される方、および安全管理者を選任する方に向けて、職務や制度の概要から資格取得の流れまでを解説します。



2 安全管理者とは

安全管理者は、法定の事業所において、現場を巡視したり設備・作業方法の安全確認を行ったりして、必要な教育および改善策を講じる仕事です。法律で定められた業種において、常時50人以上の労働者を使用する事業所ごとに、安全管理者の配置が義務付けられています。
企業は、安全管理者の選任義務が生じた日から14日以内に選任し、労働基準監督署長に遅れなく報告しなければなりません。また、もしも安全管理者が事故や病気などで職責が果たせないときは、代理者を選任しなければなりません。

2-1 安全管理者の職務
安全管理者の具体的な職責は次の通りです。

・作業所を巡回し、建設物・設備・作業場所・作業方法に危険の恐れがあるときは、直ちに応急措置や必要措置を講じる
・ 安全装置などの危険防止設備や器具を、定期的に点検し整備する
・ 安全について、教育訓練を実施する
・ 労働災害が発生したとき、原因を究明し、対応策を検討する
・ 消防訓練および避難訓練を実施する
・ 作業主任者など、安全に関する補助者を監督する
・新しい設備や生産方法を採用するとき、安全面を検討する
・ 安全に関する資料を作成・収集したり、重要事項があれば記録したりする

上記の職務を遂行するために、企業は安全管理者に対して、必要な権限を与えなければなりません。

2-2 安全管理者が必要な業種
安全管理者を配置する必要のある業種は次の通りです。

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業および機械修理業

また、次に当たる事業所では、安全管理者のうち少なくとも1人は、専任でなければなりません。

・建設業、有機化学鉱業製品製造業、石油製品製造業(常時使用労働者数300人以上)
・無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業(同500人以上)
・紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業(同1,000人以上)
・上記以外の業種(同2,000人以上)



3 安全管理者の資格の取得条件

安全管理者は資格の保持者から選任しなければなりませんが、この資格は次のいずれかの条件を満たした人が取得できます。

以下のいずれかに該当し、厚生労働省が定める安全管理者選任時研修を修了した方
・大学または高等専門学校における理系課程の卒業者で、卒業後2年以上の産業安全実務経験があること
・高等学校または中等教育学校における理系課程の卒業者で、卒業後4年以上の産業安全実務経験があること
・大学または高等専門学校における理系以外の課程卒業者で、卒業後4年以上の産業安全実務経験があること
・高等学校または中等教育学校における理系以外の課程卒業者で、卒業後6年以上の産業安全実務経験があること
・7年以上の産業安全実務経験があること

労働安全コンサルタント(安全衛生技術試験協会が実施する国家資格)



4 安全管理者選任時研修の受講


上述した安全管理者資格の取得条件1では、「安全管理者選任時研修」の受講が必須条件となっていました。ここでは、安全管理者選任時研修の概要を解説します。

4-1 講義内容
安全管理者選任時研修の講義内容は、「安全管理」「安全教育」「関係法令」「自主的活動」の4種類です。このうちの「自主的活動」とは、「事業場における安全衛生の水準の向上を図ることを目的として、事業者が一連の過程を定めて行う自主活動」とされています。

4-2 所要時間
安全管理者選任時研修は、全2日、9時間にわたって実施されます。内訳は、「安全管理」が3時間、「安全教育」が1時間30分、「関係法令」が1時間30分、「自主的活動」が3時間です。

4-3 申し込み方法
安全管理者選任時研修は、個人あるいは法人が、スマートフォンまたはPCから申し込みができます。受講料は15,300円で、振込手数料は申し込み側の負担です。受講日の10営業日前まで(受講日まで10営業日以内に申し込んだ場合は翌営業日まで)に受講料を振り込む必要がありますので、注意しましょう。



5 労働安全コンサルタントの資格取得


上述した安全管理者資格の取得条件2では、「労働安全コンサルタント」資格を有していることで安全管理者になれるとありました。ここでは、「労働安全コンサルタント」資格について解説します。

5-1 資格の概要
労働安全コンサルタントは、事業場の労働安全水準向上のために、高度な専門知識と技術、さらに豊かな現場実務経験に基づく指導力を有している人物であることを、公的に証明する資格です。労働安全コンサルタント試験の受験料は、24,700円となっています。

5-2 試験科目
労働安全コンサルタント試験には、全国7ヶ所で実施される筆記試験と、東京・大阪で実施される口述試験(筆記試験合格者のみ)があります。

筆記試験の科目内容は、次の通りです。

・産業安全一般(択一式、2時間)
・産業安全関係法令(択一式、1時間)
・機械安全、電気安全、化学安全、土木安全、建築安全から1科目を選択(記述式、2時間)

筆記試験は、約6割以上の得点で合格できます。ただし、得点が4割未満の科目がある場合は不合格となります。筆記試験の合格率は、2割から3割で推移しているようです。

口述試験は、筆記試験の内容を口述で行うもので、4段階評価の上位2つが取れれば最終合格となります。口述試験の合格率は8割程度です。

5-3 受験資格
労働安全コンサルタントの受験資格は、かなり詳細に設定されています。ここでは、主なものをご紹介します。

・大学(短期大学を除く)もしくは専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業し後、5年以上安全の実務に従事した経験を有する方
・短期大学または高等専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業後、7年以上安全の実務に従事した経験を有する方
・高等学校または中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業後、10年以上安全の実務に従事した経験を有する方
・技術士第二次試験に合格した方
・第一種電気主任技術者免状の交付を受けている方
・1級土木施工管理技術検定に合格した方
・1級建築施工管理技術検定に合格した方
・1級建築士試験に合格した方
・安全管理者として10年以上職務に従事した方
・中央労働災害防止協会の安全に関する講習を修了し、かつ15年以上安全の実務に従事した経験を有する方
労働基準監督官として8年以上職務に従事した方
・教育施設(水産大学校、防衛大学校、気象大学校、海上保安大学校)を卒業した方で、その後5年以上安全の実務に従事した経験を有する方
・大学(短期大学を除く)もしくは専門学校を卒業後、大学または公共的な研究機関において7年以上専ら労働安全に関する研究に従事した方

このほかにも受験条件を満たす項目がありますので、安全衛生技術試験協会のページなどをご確認ください。



6 まとめ

安全管理者は、労働現場において必要とされる大切な職務です。適切な安全管理者を選任するためには、細かい条件などが設定されているので、ゆとりをもって人材を確保・教育する必要があります。正しい知識と技術を身につけた安全管理者を選任して、労働現場の安全第一をしっかり守りましょう。