防火管理者の資格とは?資格の種類や取得方法などを詳しく解説

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1 導入

防火管理者とは、多数の方を収容する施設において、防火に関連する管理業務を実施する責任者で、消防法第8条で規定された国家資格です。防火管理者は、消防計画の作成・届け出や避難訓練、消防設備点検を主要な任務としており、施設における火災の予防や消火活動の要となるお仕事です。
では、防火管理者になるためにはどんな資格が必要なのでしょうか。この記事では、防火管理者資格の概要と、資格取得の方法を解説します。



2 防火管理者の資格の種類

防火管理者は、防火管理に関する正しい知識を有し、強い責任意識と行動力を兼備した、管理・監督する地位にある方でなければなりません。防火管理者資格には、施設の規模などに対応して甲種と乙種があります。
なお、消防法36条に記されている「防災管理者」という似た名称の資格もありますが、こちらは主に地震とテロに対応する管理者です。

2-1 甲種
まず、防火対象物(施設)には、「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」があります。「特定防火対象物」は多数の方が出入りする、以下のような施設が該当します。

・劇場や映画館
・公会堂や集会場
・飲食店
・旅館やホテル
・百貨店
・病院
・幼稚園

一方、「非特定防火対象物」に該当するのは以下のような施設です。

・共同住宅
・学校図書館
・博物館や美術館
・車両や船舶、航空機の発着場
・神社や寺院、教会
・工場や作業場
・駐車場や倉庫
・重要文化財

また、特定防火対象物は、老人ホームや障害者施設などの避難困難者がいる施設であるかによって、2つに区分されます。さらに、施設の収容人数と延べ面積による区別もあります。

これらの区分を踏まえて防火対象物のカテゴリーをまとめると、次の5つに分類されます。

特定対象物であり、避難困難施設である、収容人数10人以上のもの(例:福祉施設)
特定対象物であり、避難困難施設でない、収容人数30人以上で、延べ面積300平方メートル以上のもの(例:百貨店)
特定対象物であり、避難困難施設でない、収容人数30人以上で、延べ面積300平方メートル未満のもの(例:中規模の飲食店)
非特定対象物であり、収容人数50人以上で、延べ面積500平方メートル以上のもの(例:都市部の駅)
非特定対象物であり、収容人数50人以上で、延べ面積500平方メートル未満のもの(例:地域の神社)

甲種防火管理者は、以上すべての防火対象物の防火管理者になることが可能です。

2-2 乙種
これに対し、乙種防火管理者が管理できる施設は限定されます。具体的には、上記の3と5のみです。乙種防火管理者資格は比較的容易に取得できますが、将来の計画や目的を考えて、適切な区分の取得を目指すと良いでしょう。



3 防火管理者資格の取得方法

それでは、防火管理者資格はどのように取得すれば良いのでしょうか。以下では防火管理者資格を取得する4つの方法について解説します。
なお、防火管理者に選任されたら、消防計画と一緒に消防署に届け出る必要がありますので、忘れないようにしましょう。

3-1 講習の受講と試験の合格
防災管理者資格を取得する一般的な方法は、防災管理者資格講習を受講して修了試験に合格する道です。
防火管理者講習は、義務教育を修了しており、日本語が理解できれば受講できます。講習の日程や会場、申込方法、受講料などは各市区町村によって異なるので調べてみましょう。

3-2 学歴と実務経験
大学・短期大学・高等専門学校において、総務大臣指定の防災に関する学科や課程を修了して卒業し、1年以上の防火管理の実務経験がある方は、防火管理講習試験が免除されます。ただし、学歴や職歴を証明する書類が必要で、書類受理の条件は自治体によって異なるため、こちらも確認が必要です。

3-3 消防職員の経験
市町村の消防職員として管理・監督的な立場を1年以上務めた方も、防災管理者資格を取得できます。これについても職歴の証明が必要で、自治体ごとに受理条件が変わるため該当する方は確認しましょう。

3-4 学識経験
一定の学識経験があると認められた方も、防火管理者資格を取得することができます。具体的には、以下のいずれかの条件を満たすことが必要です。

・労働安全衛生法上の安全管理者として選任された方
・防火対象物点検資格者講習の課程を修了し、免状が交付された方
・危険物保安監督者として選任され、甲種危険物取扱者免状を交付された方
・鉱山保安法上の保安管理者または保安統括者として選任された方
・国や都道府県の消防の事務職員で、1年以上管理的または監督的な職を務めた方
・警察官または警察職員で、管理的または監督的な職を3年以上務めた方
・建築主事または一級建築士の資格を所持し、1年以上の防火管理実務経験がある方
・市町村の消防団員で、管理的または監督的な職を3年以上務めた方



4 防火管理者資格Q&A

最後に、ここでは防災管理者資格に関するよくある疑問にお答えします。

4-1 防火管理者資格講習の内容は?
防火管理者講習は、以下の3つで構成されます。

・甲種新規講習(2日間、受講料7,500円):防火管理の意義や、火気管理の施設および設備の維持管理、消防訓練および教育、消防計画の作成などについての講習です。
・乙種講習(1日間、同6,500円):甲種新規講習と同じ内容について、基礎的事項を学びます。
・甲種再講習(半日間、同6,500円):最新の法令改正や、実際に発生した火災事例の研究についての講習です。甲種新規講習を受講済みで、甲種管理者に選ばれた人に受ける義務があります。

講習終了後には試験(効果測定)があり、講習と同じ内容が出題されます。基本的には講習時間の終了時点で合格が決まるので、試験の結果に関わらず、合格率は100%に近くなっています。ただし、受講態度の良否は重視されるので、集中して講習を受けましょう。

4-2 防火管理者資格に有効期限はある?
防災管理者資格自体には有効期限はなく、更新も必要ありません。しかし、ホテルなど収容人数が300人を超える大型の特定防火対象物の防火管理者は、最新の知識と技術を学習するために、講習から5年以内に再講習を受ける必要があります。再講習を受講しなくても先に獲得した修了証自体は失効しませんが、防火管理者に選任されるためには再受講が必要です。
なお、学歴など講習受講以外の方法で防災管理者資格を取得した場合は、再講習を受ける義務はありません。

4-3 防火管理者資格は再発行できる?
防災管理者資格の講習修了証をなくしてしまった場合は、再発行できます。日本防火・防災協会に申請をして、修了証1枚2,000円の手数料を前納しましょう。



5 まとめ

この記事では、防火管理者資格の概要と取得方法を解説しました。より詳細な条件などについては、消防庁のページなどで確認しましょう。防火に関する正しい知識と技術を持っていることを公的資格で証明して、安心・安全を守るお仕事に生かしてください。