多くの企業が人手不足に悩んでいます。人手不足が続くと、企業経営においては事業縮小や残業時間の増加などさまざまなリスクが生じるでしょう。人手不足の抜本的な解消には、採用方法の見直しが有効です。この記事では、人手不足による企業のリスクを解説したうえで、人手不足解消に有効な採用方法についてご紹介します。
人手不足が企業に及ぼす影響
従業員が不足すると、さまざまな悪影響が生じます。企業経営の面だけでなく働いている従業員も被害を被り、ひいては倒産に至る危険もあるため、迅速に対応しなければなりません。ここでは人手不足が企業に及ぼす影響について解説します。
経営面への影響
人手不足は企業の経営面に悪影響を及ぼします。人手が足りないと十分に事業を行えず、事前の想定より業績が落ちる可能性があります。
場合によっては、人手不足を理由に事業の縮小や新事業への参入断念などを決断せざるを得ないかもしれません。事業を縮小すれば企業の信頼度が低下したり、新事業に参入できなければ多角的な経営がままならず経営リスクが大きくなったりするでしょう。
結果的に競合他社に後れをとり、さらに経営が苦しくなる負のスパイラルに陥る危険性も考えられます。
従業員への影響
人手が不足すると従業員により多くの負担がかかるため、従業員に対しても悪影響が生じます。
まず、一人当たりの業務量が増えると本来の業務時間では仕事が終わらなくなり、時間外労働が増えて心身の疲労が溜まりやすくなります。ストレスも増加するため、さらに心身への悪影響が生じやすくなるでしょう。業務中にミスが増えたり効率が落ちたり、うつ病などで休職・退職に至る可能性も低くありません。
このように人手不足によって従業員の負担が増えていくと、離職率が上がってしまうリスクもあります。
人手不足を解消するなら採用方法を見直そう!
人手不足はさまざまな業界で起こっており、解消するためにはただ傍観しているだけでなく、何かしらの手を打つ必要があります。特に、近年多くの企業が導入し始めている新しい採用方法を検討してみましょう。以下では人手不足解消の助けになり得る新しい採用方法について解説します。
リファラル採用
リファラル採用は近年注目を集めている採用方法です。リファラル(referral)は「紹介」という意味があり、従業員から知人や友人などを自社に紹介してもらう方法です。
会社のことを詳しく知っている従業員から紹介される人材なので、高い確率で自社にマッチしている人材と出会える点が魅力です。また、言うまでもなく労働環境の悪い企業に知人を紹介したいとは思わないため、紹介される人材にとっても労働環境の良さが保障されます。
なお、リファラル採用と似た方法に「縁故採用」があります。縁故採用は従業員の血縁者を採用前提で選考しますが、リファラル採用は血縁者以外の知人も選考する代わりに、一般候補者と同様の選考を行います。
ダイレクトリクルーティング
企業が求めている人材を探して積極的にアプローチをかける採用方法です。業界横断的に人手不足が叫ばれている今、ただ募集をかけて待っていても人材が集まりづらく、企業側から人材を探しに動く形として注目を集めています。
メリットとしては、求人サイトや人材紹介と比べて費用がかからない、転職活動を行っていない人材にもアプローチできる、直接面談するため採用ステップを短縮できるなどの点が挙げられます。ただし、多くの企業においては従来と大きく異なる採用方法のため、企業側で採用スタンスを大幅に改革しなくてはならない点が課題です。
SNS採用
現在多くの人が日常的に使っているSNSを利用する採用方法もあります。SNS上で企業の情報を発信して宣伝したり、採用に関する情報に特化したアカウントを作ったりとさまざまな利用が可能で、ほかの求人アプリと連携させることもできます。
SNSは特に若者が多く使っているため、若者を採用したい企業にとってはぜひ検討したい手段です。また、SNSを利用すれば求職者と近い距離でやりとりできるため、若者以外を探している企業にとっても魅力的な選択肢でしょう。フランクに社風を伝えることもできます。
採用方法以外で人手不足を解消するコツ
人手不足を解消する方法は、採用方法の改善以外にも考えられます。これまでノーマークだった人材に目を向けたり、現状の従業員がより頑張れる環境を作ったりすることでも人手不足を補えます。この章では人手不足を解消する採用方法「以外」のコツを紹介します。
幅広い人材を積極的に採用する
新卒者や現役世代以外の人材を積極的に採用していくことでも、人手不足を補えます。定年退職したシニア世代や外国人、出産・育児のために退職した女性など、職種やその人によっては問題なく働ける場合があります。こういった視点から、人手が足りない職種で勤務可能な人材を考え直してみるのも一つの手です。
現状の労働環境に適している人材を探すだけでなく、幅広い人材が自社に対応できるよう環境整備を進めることも大切です。生産年齢人口は減少し続けているため、従来と同じ範囲で人材を探しても選択肢が狭まり続けてうまくいかなくなるかもしれません。
労働環境を改善する
職場の労働環境を改善することも人手不足解消に役立ちます。労働環境が良い企業では従業員が退職しづらくなり、さらには労働効率も上がるため、少人数でも多くの業務をこなせるようになります。リモートワークやフレックスタイム制を導入したり福利厚生を充実させたりと、さまざまな方策を選択肢に入れましょう。
従業員の評価基準を見直すことも効果的です。当然ながら、「残業により長く働いている」「上司との付き合いが良い」など成果と関係ない理由で評価していると、従業員の意欲が下がり能率低下や退職の原因になります。