昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進が注目を浴びていますが、皆さんの企業ではどのように進められていますでしょうか。
実は、2004年にウメオ大学(エリック・ストルターマン教授)が「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」を提唱してからもう15年以上経ちますが、日本では未だ業務工程をそのままデジタルに移行するデジタル化も思うように進められていない企業が多く存在します。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークの普及やお家時間が増加しました。これにより、企業は半強制的にDX化を進めなければならなくなりました。ついこの間まではフル出社で仕事をしていたのに、「明日からフルリモートで働いて下さい。」と急に働き方が変化した方も多いのではないでしょうか。
この急激な流れについて行くには、ノウハウがないとなかなか難しいと考えられます。「DXの推進」という言葉ばかりが先走りして、中身が何も決まっていないまま上司に「なんとかDX化してほしい!」と言われ、見切り発車でとりあえずやってみたは良いものの、失敗してしまったケースもよくお伺いします。
この記事では、これから行う方や、過去に失敗してしまった方の参考になるように、原因と解決方法をご紹介いたします。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が失敗する原因
ここでは3つ紹介!
データリテラシーの低さ
せっかく蓄積された貴重なデータを活用しようとした際に、活用可能な状態でなかった経験をしたことはないでしょうか。データのまとめ方が人によってバラバラであったり、データの粒度や精度にばらつきがあり、分析が不可能なケースがあります。これを解決するにはまず、利活用可能な状態でデータを残すために、“仕組み”や“ルール作り”が必要です。そして1番大事なのは、それを継続して浸透させるための“データマネジメント”や“社員一人ひとりのリテラシーやスキル向上”です。
「仕組みやルールを1度伝えたら終わり。後は担当社員の責任だ」と思って放っておいてしまうと、定着せずにルール通りやっている人とやっていない人でまた、データにばらつきが出てしまいます。始めのうちはルールを作成した担当者がしっかりと確認し、浸透してきたタイミングでチームリーダーなどを任命し、複数人で管理可能な体制を整えましょう。
固定された環境で違和感を持たなくなった慣れた不便
いつまでも固定された「メンバー」、「環境」、「タスク」を行っているだけでは、革新的な変化は起こりません。時には働く場所を変えてみたり、可能であれば副業などで別の会社で働いてみるなどの新しい働き方を取り入れてみましょう。こうすることで、自分の中に固定された働き方をアップデートしていくことができます。どんなに不便なことでも、人間は3日で慣れてしまうと言われています。新しい風を自分の中に入れることで、今まで慣れてしまった不便に気づき、業務を効率化させるためにどの作業をデジタル化やDX化できるか考え、実践することが大切です。
Excel
Excelは、表計算ソフトとして非常に優秀で、幅広い利用用途があります。だからこそ、ツールを用いた方が効率的だと感じていても、なかなかExcelから離れることができずに使い続けているケースも多いのではないでしょうか。Excelはファイルという単位でデータを扱うため、リアルタイムでの共同作業が簡単にできません。共同作業を行いたい場合、Office向けの共有するサービスでブラウザアプリとしてのExcelを使用すれば可能ですが、従来型のファイルサーバーでは別途設定が必要になり、他ユーザーがファイルを開いている際に編集作業が終わるまで待たなければならないという欠点があります。
リアルタイムで共同作業ができるクラウドサービスはもう何年も前から存在していますが、未だに「ファイル」のモデルで留まっているケースを多く見受けます。ファイルで作業を行っていると、「完成版」、「修正過程」、「バックアップ用」といった内容で、本来は1つで管理するべき同一データに複数のバージョンが発生する問題がおこります。
また、共有にミスがあった際に受け取った側が常に最新版であるとは限らず、ミスが起きやすい環境を作ってしまいます。
その他にも、Excelで作成した際に「データ」と「表現形式」が混ざってしまっていることがあります。人間が見やすい表現方法はセル結合を行い、表現形式が整っている【A】ですが、機械が読み取りやすいのは【B】です。
このように、人間が見やすいデータと、機械が処理しやすいデータは全く異なります。Excelは記載する担当者や、そのデータの扱い方によって変幻自在に表現ができてしまうため、その後のデータ活用を行うのに向いていないケースがあります。 「データリテラシーの低さ」で先述した通り仕組みやルールを徹底するか、表現の方法が統一されているクラウドサービスを利用することをおすすめします。
中小企業でDXが進まない理由
中小企業でなかなかDXが進まなかったり、失敗してしまう原因は、大きく4つに分けることができます。・経営者による明確な経営戦略を持っているか
・IT人材の確保と育成
・データと組織「縦割り」の弊害
・老朽化したレガシーシステム
この4つにフォーカスして、原因と解決策を考えていきたいと思います。
経営者による明確な経営戦略を持っているか
企業のDX実現は、経営者にかかっていると言っても過言ではありません。なぜなら、DXを行うことは、ビジネスモデルや組織、企業文化そのものが変化するということだからです。企業自信の変革であるからこそ、企業の方針を決める経営者が明確な経営戦略を持っているかどうかが大切になっていきます。部下にDXを丸投げするのではなく、DXで「どのような状態になっていたいのか」、「どのようなことを成し遂げたいのか」を経営戦略やビジョンとして伝えることが必要です。DXは目的ではなく、手段です。このことを念頭にDXを進めましょう。
また、担当者の方が上司から「DXを進めて欲しい」と中身もなく頼まれた場合は、どのような状態にしたいのか、ゴールは何なのかをヒアリングしてみて下さい。
そうすることで、本当に手を付けるべきことは何なのかが見えてくるはずです。
IT人材の確保と育成
IT化が進む現代で、そのスピードとは比例することなく、IT人材は不足しています。特に「先端IT人材」と呼ばれるAIや、ビックデータの活用など新たなデジタル技術を身につけている人材の不足が多く見受けられます。人材を企業内で確保できない場合、ベンダー企業に頼むことになりますが、ベンダー企業の中でも人員に限りがあるため、根本の解決にはなりません。
他社やアドバイザーなどを入れ、力を借りるだけではなく、自社の人材を「先端IT人材」に育成する教育プログラムにも注力する必要があると言えるでしょう。
データと組織「縦割り」の弊害
日本企業の構造に多い、縦割りの組織構造により、部署間のデータの連携や活用が難しい状況に陥っているケースが多く見受けられます。部署ごとにそれぞれのビジネスに合わせてシステム構築を行った結果、他の部署では活用できない事態が起こっています。
また、特定のシステムなどが乱立することでデータが分散してしまうケースも考えられます。日本オラクルが2020年5月に公表した調査によると、調査対象の73%の企業が、「バラバラで組織やシステム全体から孤立したデータが原因で、利害関係者が必要とするデータを提供できていない」と回答していました。
参照:https://www.oracle.com/jp/corporate/pressrelease/jp20200519.html
せっかく収集したデータも部署内でのみの蓄積、活用することができない場合、DXに力を入れようと企業全体で動き出す際に、動けません。縦割り構造で動いている場合は、いかに各部署とノウハウを共有できるかが大切になります。
老朽化したレガシーシステム
長期間、大規模なシステム開発を担ってきた多くのIT人材が2025年までに定年退職を迎えることが想定されています。その際に、属人的になってしまっているシステムを継承する難しさが、原因の1つと言えるでしょう。ブラックボックス化してしまったレガシーシステムが足枷になっている企業も少なくはありません。また、経産省が公開している「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」では、ブラックボックス化した老朽化システムを放置した場合、最大で年間12兆円の経済損失を被る可能性があるとされています。
参照:https://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010-3.pdf
自社に足枷となっているレガシーシステムが存在している場合、どのように対応していくか、属人化しない体制にするにはどうしたら良いかを考えて対策する必要があります。
まとめ
この記事では、DX化を行う際に陥りやすい失敗や、成功させるためにどのように考えたら良いかをご紹介させていただきました。どのような企業の状態を成し遂げたいのか、そうするためにDXで何ができるのかを考え、できるところから取り組んでいただけたらと思います。DXを行う1つの目的として、本来人がやらなくても良い作業を効率化し、クリエイティブなことに頭を使える体制を作るというものがあると思います。
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